残念な現場

今まで数多くの会社と付き合わさせて頂きました。そのおかげで、様々な会社やプロジェクト毎に、沢山の良い点悪い点を目の当たりにする機会がありました。あまり踏み込んだところまで知り得る訳ではないですが、その中から、いくつかの残念なパターンを紹介します。

予算の予測が甘い

どのぐらいのリソースが必要でどのぐらいの時間がかかって、これだけの予算が必要です。という中に色んな事情で遅延した時の為のバッファ分等が極めて少ないことがあります。仮にバッファを除けば、おおよそ理想の予算なのでしょうが、クリエイティブな事がベルトコンベアで作業するように進められる訳がありません。もう少しバッファは最初から多めに取らなければいけないのではないかと思う事がしばしばあります。とはいえ見込み売上から導かれる予算なのでギリギリになってしまうのは致し方無い事ですが、結果「やっぱり〆切を伸ばします」となれば同じです。

監督が正体不明

プロデューサーとかディレクターっていう名称は日本じゃ若干曖昧な気がするので敢えて「監督」と表現します。この人に決定権が無いとか、はっきりしないとかいうパターン。無意味に決をとるとか。決定権が複数の人にあり皆違う事を言う事もあり、OKだった物が1年近く経ってからNGになるとか……同じ社内の話しであれば、まだ問題は少ないかも知れませんが、下請制作だとしたら正直、腹も立ちます。仕様自体が変更になれば、必要な作業についての追加予算は必要と考えて欲 しいものです。

各パートの作業工程を全く把握出来てない

現代のゲーム規模だと、もはや自分の職域を超える部分は知らなくても良いかもしれませんが(カジュアルゲームもあるので十把一絡げには出来ない)可能ならば上澄み程度は知っておいても損はないと考えます。自分が古いタイプだからかもしれませんが、例えばサウンド屋さんでも、どの位のクオリティのモデルがどの程度の時間で作れるかとかを知って欲しいと思います。人によって力量が違うので絶対という事はありませんが、本職なら何でも簡単にささっと出来ると思っている人は意外と多いと思います。そういう無茶を言っているシーンに出食わす事はゼロではありません。またビジュアル面は下書きや、仮モデルで想像して判断できているのに、サウンドの事になると想像が付かないという人はさらに多いようです。例えば歌物でデモ曲を出しても「歌が入ってないからイメージ出来ない」と言われる事もしばしば。もし、デモ曲に歌が入っている必要があるなら、仮歌をレコーディングするという工程を踏むのですが、予算に組み込まれてないケースは非常に多いです。

やたら綿密な工程表を求める

作業の把握という意味や、工数量の把握という意味では必要なのかもしれませんが、極度に綿密な工程表は必要ないと思います。策に溺れるというか、それを求める人に限って工程表が守れず、しわ寄せどころか他人のせいにして逆切れしてくる人もいるのは確かです。むしろ帳尻を合わせ辛くなります。これも恐らく、クリエイティブは流れ作業では済まず、各パートでの擦り合わせが必要で、お互いが待ち状態になる事を考慮してないから起きる事故なのかもしれません。

もし、綿密な完成図が既に出来上がっていれば可能かもしれませんが、最初から完成図が出来ている仕事に出会ったことはありません。でも、まれに最初から最後まで仕様書がない状態でローンチタイトルを作り上げてしまう神プロジェクトもいるから驚きです。

ゲーム業界の七不思議はまだまだ沢山ありますが、色んな会社と仕事させて頂くと色んな発見があって病み付きになります。