価値の高い人間となるためには

私は10代後半よりゲーム業界でプロとして仕事を始め、プログラマーからサウンド全般を経て、作曲家へとフォーカスしていきました。10年以上フリーランスとして働いた後、自分のサウンドプロダクションを設立し、以来10年間クリエーターと経営者の二足のわらじを履いています。

そんな私がクリエーターとして、経営者として人材育成に携わった経験を基に、「自分の明るい未来を描く方法」についてその両者の比較を交えながら書いてみようと思います。

クリエーターに限らず、人が社会人として組織に属する事になると、人はある種の安堵感を感じると共に、自分が1つの歯車になってしまったのではないかという感覚を覚える事も多いと思います。組織論的に良く組み上がったシステムには、各個人の明確な役割分担と、段階を追って成長のステップを踏む仕組みがありますが、それは同時に、自分の将来について安心感と危機感をもたらす物でもあります。

私はクリエーターと、その他の仕事を区別しません。

私の視点から言えば、クリエーターは創造性へ、その他の仕事は技術性へ偏る人が多い傾向にあります。それらはそれぞれの優先順位の高いミッションであるので正しいと言えますが、それでもその両者のバランスを欠いてしまうと、総合的にその人の将来性が低く見積もられてしまうので、その両者が必要なのです。

では技術性と創造性とは何でしょう?

技術的な側面が強い事とは、伝聞で学習できる事であり、訓練をする事です。

創造的な側面が強い事とは、自分の特質を理解し自分の守備範囲を広げて行く事であり、総合的に自分にしかできない事をやる事です。

つまり乱暴な言い方をすれば、技術的なレベルはある水準の担保であり、創造的なレベルは付加価値を生む物です。この両者の違いをハッキリと区別し、その両方を伸ばす努力をしなくてはなりません。この両者は基本的な目標の持ち方が全く異なるため、同時に伸ばそうとすると混乱を招く事が多いのは確かです。それは逆に言えば、手順を間違えなければ同時に修練できる事であり、そうすべきだと私は考えています。

ただしここでもう一つ重要なのは、両者とも経済的価値が高い事であるのが大前提です。自分の技術と特質がどのような状況でどれだけの価値をもたらすのかを具体的に把握する必要があります。

きっとあなたはもう既に実践の場に出ているので、与えられる時間は自分以外の都合で決まってゆくものです。そうなった以上、結局は今の自分で使える武器を最大限にやりくりして、どんな手を使ってでも自分の生存確率を上げる方法を考えるしかありません。

技術を学ぶ人が独自の工夫を凝らしてゆく事、独創性を追求する人が他人を理解し協調してゆく事、最初はこんな当たり前の事から始めるのだと思いますが、こういった一見相反するような事を意識して自分のルーチンに組み込んでゆく事が、私は重要だと考えています。

以上、これらは個別には当たり前の事ではありますが、一つ見落とされがちなのは、こういった総合的な方針は自分のモチベーションを持続させる方法でもあるという事実です。自分が経済戦争という実戦の場にいる事を自覚した上で、経済的な価値がある技術と独創性をバランス良く向上させてゆく事は、自分の将来に光を見いだす事でもあるのです。

自分の生き方に自信を持ち、長く戦ってゆくためにも、こんな事を念頭に置きながら仕事をしていて欲しいなと思います、きっと良い事があるハズです。