世の中から戦争をなくす

サイバーステップは2000年4月、国立東京高専の情報工学科を98年に卒業した数名で創業しました。どこにでもある、いつ潰れてもおかしくない小さな会社でした。調布市を創業の場所に選んだのにも、大した理由はありませんでした。創業メンバーに京王線の利用者が多い、駅の近くに国立電気通信大学があり、高専の同級生の多くが編入していた、私の実家が調布市だったことくらいです。すきま風の吹き込む安いマンションの一室でのスタートでした。

2012年現在では日本に110名、アメリカと韓国に5名ずつ、台湾に20名、オランダに若干名の社員がいて、オンラインゲームの自社開発とサービスを行なっています。会社は日本、アメリカ、韓国、台湾、オランダ、ドバイ、ブラジル、中国にあり、年内にトルコとロシアで現地法人を設立します。いずれの地域でも自社オンラインゲームのサービスを立ちあげていく予定です。

自慢したいわけではなく(そういう気持ちがゼロかというとそうでもないですが)、この後の文章に書いた思いの背景を知ってもらうために、創業当時と現在を紹介しました。

ゲームは何のために存在するのか?

任天堂の社長さんが仰っていたことが記憶に残っています。「ゲームは衣食住には関係のない、世の中に必要のないものだ」

任天堂の社長はそれでもゲームを買って頂けるからには、手抜きのない、真剣に作ったおもちゃ(世の中に必要のないもの)を作る、あるいは創る、という気持ちがあるのだと感じました。

日本にはゲームを遊びたい、と思ってくれる人がたくさんいて、ゲームを作りたい(創りたい)、とクリエイターを志す人もたくさんいます。

なぜゲームを作るのか?

なんのために娯楽は存在するのか、なんのためにゲームを作るのか?

作る人にとっては「作りたいから作るんだ」だけで充分です。ただ、140人からの社員が日々働いて、国内外を合わせれば数十万人の方々に、当社のゲームを楽しんでもらっている立場としては、理由が必要です。100人が1年間働くということは、1人が100年を過ごすのと変わらないことです。手を抜いたり、お金を稼ぐためのみが目的、は犯罪的です。

「二十世紀は戦争の世紀」

95年から96年にNHKで放送された、「映像の世紀」という番組の中での言葉だったと思います。この言葉を見た時に、なんとなくムカッときました。

その後、高専を卒業して、創業時期に海外を見て、いろいろな人が様々な場所で生活していることを実感しました。厳しいことがあっても、その時その時を楽しみながら生活していることを知りました。自分にできることは大したことがないけど、むかついたから世の中から戦争をなくしてやろうと思いました。会社を創業して3、4年目のことです。それを社内で口に出せるようになったのが2007年くらい、2010年からは、新卒の求人広告でトップに出すようにしました。その結果、2011年に入社した新卒からエントリーシートに、こいつら地球防衛軍かと思うようなコメントを書かれるようになりました。

ゲームを作ることで世の中から戦争をなくせるなんて思いません。でも、誰も戦争なんてしたくないはずです。そんなことよりもゲームして遊ぼう、楽しい時間を過ごそう。ゲームを作って、世界中のすべての国や地域で、10歳の子供が大人になるまでの間、30年や50年でも楽しめるゲームを提供し続けること。結果的に誰も戦争なんてしたくない、そんなことよりもゲームして遊ぼう、楽しい時間を過ごそう。そんな世の中になる、とりあえずそれに挑戦しています。

「二十一世紀は娯楽の世紀」と言われるようになったらうちらの勝ち。