ゲームプロデューサーが知るべき3 つのこと

昨今、技術進歩に伴い表現の幅が広がり、従来の「ゲーム」という枠に収まらない、様々なエンタテインメントが生まれてきています。そのため、プロジェクトの責任者たるプロデューサーには、ゲームだけではなく様々な分野の知識・経験が求められます。今回お話させていただくのは、ゲームプロデューサーを目指す人が知るべき3つのことです。

1.スペシャリストではなく、ゼネラリストに

プロデューサーが知るべき知識と経験は、世界の最新ゲーム事情、最新と過去のヒットゲーム、最先端IT技術、プロジェクトマネジメントの手法、他業種のエンタテインメントなど、例を挙げればきりがありません。ゲームだけでなく、幅広い知識と経験は多ければ多いほどいいです。

しかし、ゲームプロデューサーを目指すのであれば、まずは誰よりもゲームに詳しくなってください。たまに『ライトユーザーの目線を保つために、自分はあえてゲームをやらない・ゲームのことを調べない』というゲーム制作者に会いますが、この考え方はとても危険です。大事なのは、プロが素人の目線を持つことであって、素人がプロの仕事をすることとは違います。ゲーム制作の責任者が、ゲームを知らなくていいはずがありません。ゲームを創るのですから、まずはゲーム分野のスペシャリストになりましょう。その上で、ゼネラリストを目指してください。ゼネラリストとは、薄く広い知識を持つ人ではなく、ある特定の分野に対して高い専門性を持ち、かつ他分野に関しても一定以上の専門性を持つ人です。このタイプにならなければ、ゲームプロデューサーを務めることは難しいでしょう。

2.発言の影響力を自覚する

制作現場において、責任者たるプロデューサーの一言には大きな影響力があります。企画会議で発した何気ない一言が、なんとなくその場の雰囲気で採用され、後の企画に根強く残ってしまったという話はよく聞きます。まず、あなたの発言はプロジェクトを左右する重大な一言になることを自覚しましょう。

クリエイター人生において、最前線で戦える期間はどれくらいでしょうか?人にもよりますが、20歳~40歳までの約20年と仮定すると、プロジェクト期間が2年の場合、あなたは才能あるクリエイター達の、最も輝いている時期の10分の1を預かることになります。あなたが発信する何気ない一言は、彼らの最盛期の過ごし方を大きく左右する一言になります。彼らの人生を華やかなものにできるかどうかは、あなた次第です。それを充分に自覚することができれば、あなたはプロジェクトの結果に対しても、プロジェクトに関わるスタッフに対しても、常に誠実かつ責任ある発言のできるプロデューサーでいられるでしょう。

3.夢じゃ米は買えない

夢じゃ米は買えません。当たり前のことですが、ゲームを創る上ではとても大事なことです。ゲームクリエイターとは夢を語る人ではなく、夢を「形」にする人です。夢は「形」にしなければ、ユーザーの手元には届きません。そして、プロデューサーの役目は、夢を形にするだけではなく、形を売って、「米」を手に入れること(=ビジネスとしての成功)です。この立場では「好きなものが創れればいい」という考えは許されません。プロデューサーとしての真価が問われるのは、「形を米に変えること」です。「夢を形にすること」は、あなたのプロジェクトにいる最高のスタッフが全力を尽くしてくれますので、プロデューサーとしてのあなたは、スタッフの作り上げた最高のコンテンツを、いかに多くの人に届けるか、いかにビジネスとしての成功を収めるかを考えてください。その時こそ、ゲーム以外の分野の知識と経験が役にたつでしょう。